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【読書】2015年直木賞受賞作品、東山彰良「流」【感想】

 こんばんは!

 

筋トレ後、3日目の筋肉痛に悶えているてんちょーです。

十台の頃と比べると、なかなか回復が遅いですね。

落ち込みます。

 

今しがた、「流」を読み終わったので感想を書きます!

 

直木賞受賞作品の「流」を読んだきっかけはこちらをご覧ください

tenchou3.hatenablog.com

 

※ネタバレ注意

ネタバレなしには書ききれないので、所々ネタバレが入ってくると思います。

読む予定のある方は、読み終わってから読んでいただければ幸いです。

 

2015年直木賞受賞作品「流」

 

 

プロローグのさらに前に、本書はこの詩から始まる。

魚が言いました・・わたしは水のなかでくらしているのだから

  あなたにはわたしの涙がみえません

王璇「魚問」より 

 

最初、なんのことやらと思って、読み流してしまいました。

ただ、読み終わって思う。すべてがこの詩に集約されると。

 

あらすじ

 

流

 

 

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。台湾生まれ、日本育ち。超弩級の才能が、はじめて己の血を解き放つ!友情と初恋。流浪と決断。圧倒的物語。

amazon商品説明より

台湾で生まれ育った主人公、秋生(チョウシェン)。

祖父が殺された時、秋生は17歳の子供だった。

祖父が殺された理由もわからず憤り、

犯人を捜すが真相にたどり着くことができぬまま、

 時間だけが過ぎていく。

 

祖父のことは進展がないまま、

あまり平穏ではない日々をおくっていた秋生。

祖父の死から数年たち、一枚の写真をきっかけに、

事態は真相へと動き出す。

 
筆者の東山彰良さんについて

1968年中国人の両親のもと台湾で生まれ、5歳まで台北市で過ごした後、日本へ移住[2]。9歳のとき台北の南門小学校に入学したが、日本に戻り福岡で育つ[3][4]。日本に帰化せず、中華民国台湾の国籍を保持している[3][5]。祖父は中国山東省出身の抗日戦士[3]。父親の王孝廉は1949年に台湾に移り教師となり、1973年に日本に移り住んだ[3]

 

筆名の「東山」は祖父の出身地である中国山東省から、「彰良」は父親が暮らした地であり、母親の出身地でもある台湾の彰化に由来する[3][5]西南学院中学校・高等学校西南学院大学経済学部経済学科卒業。1995年に西南学院大学大学院経済学研究科修士課程を修了し[6]吉林大学経済管理学院博士課程に進むが中退[7]

 

2002年、「タード・オン・ザ・ラン」で第1回『このミステリーがすごい!』大賞の銀賞および読者賞を受賞。同作は『逃亡作法 - TURD ON THE RUN』と改題して出版され、20万部突破のベストセラーとなった。現在は非常勤講師として西南学院大学[4]など複数の大学で中国語を教えている[1][2]。また、福岡県警にて中国人容疑者の通訳を務めていた経験もある[2]

酒好きで特にテキーラを好み、テキーラ・マエストロの資格をもつ[4]

wikipwdiaより 

 

筆者の東山彰良さんは、もともと台湾出身の方だったですね。

さらに本作品「流」については、

台湾生まれの作家、東山彰良さんが、家族のルーツをたどる小説『流』(講談社)を書いた。国民党と共産党の内戦に加わり、台湾に逃れた祖父。替え玉受験に失敗し、不良高校に入った父。時代背景とともに家族の実人生を膨らませ、奔放な青春小説に仕上げた。

 東山さんは1968年生まれ。9歳のとき日本に移住した。03年のデビュー作『逃亡作法』を含め、ミステリー小説を多く手がけてきた。筆名は、家族の出身地である中国山東省などが「良い」との思いからつけた。「いずれ家族の物語を書こうと思っていました」

 主人公は秋生(チョウシェン)。高校生になった1975年、祖父が何者かに殺害される。犯人を捜し始める秋生。祖父は戦時中に国民党に付き、大量殺害に関わっていた。現地には、事件の記憶をとどめる石碑が残る。

 実話に基づく。「石碑もある。祖父を恨む人がいるかもしれない、ということから膨らませました」

 家族の歩みをたどることで、20世紀の台湾庶民史小説にもなった。内戦を生き延びた祖父の知人に会い、「下っ端はイデオロギーを掲げて戦ったわけじゃない」と聞いた。「恩人のあの人の敵だから戦う、という原理。腑(ふ)に落ちました」

 政治の動きは遠景にあるが、描いたのはただ懸命に生きる庶民の姿。その代表、秋生は父がモデルだ。

 70歳を過ぎたからか、父は冗舌に語ってくれた。軍隊時代、老兵の山狩りに駆り出されたが、見つけて撃つのがいやで木陰でたばこを吹かしたこと。金属製の定規をナイフ代わりにした高校時代のけんか――。すべての話が作品に生きた。

 ただ、主人公の年齢は東山さんの実年齢に引きつけた。自らが触れた台湾を描きたかったからだ。

 「僕が帰属するところは家族しかない」。日本では言葉も通じず、生活は一変した。台湾では逆に日本人と言われる。でも家族はゆらぐことのない存在だった。

 家族と暮らした台湾の界隈(かいわい)は、ビル群となり、当時の面影はない。「自分が立っていた場所の手触りを確かめ、失われた場所を本にとどめたかったのかもしれません」(高津祐典)

朝日新聞DIGITALより

 なるほど、読んでいて感じたリアリティも、

自らのルーツ、幼少の台湾での生活、

父親の実体験をもとに描いた作品だったからなのか。

 

台湾には一度も行ったことはないし、ほぼなにも知らないのだけど、

この作品からは、妙な(といったら変だけれども)生々しさを感じた。

 

本作品はじつにおもしろかったので、ぜひその他の作品も読んでみたい。

 

感想※ネタバレを大いに含みます。ご注意ください。

先ほども書いたが、

魚が言いました・・わたしは水のなかでくらしているのだから

  あなたにはわたしの涙がみえません

王璇「魚問」より  

物語の主軸はここに尽きると思う。

 

私の解釈は、

「 人はそれぞれ、自分の世界(価値観・視点)に生きている。

水の中で暮らす、魚の悲しみ方がわからないように、

相手の世界のことを理解しなければ、相手の涙(悲しみ)は理解できない。」

ということだと思っている。

 

当初17歳の秋生(チョウシェン)はクソガキだ。

自分の小さな世界に生き、自分の感情すらどうすることもできないのだ。

他人のことを理解する以前に、自らがそれだけの悲しみや経験をまだ持っていない。

それゆえに、最初の恋人・毛毛との別れ際も、

二番目の恋人・夏美玲との関係も、すべて自分勝手な振る舞いとなってしまうのだ。

 

だが、中国本土・祖父が虐殺を行った地で、

祖父を殺した字文叔父さんと向き合ったとき、

祖父の悲しみ・字文叔父さんの悲しみ、

祖父の決意・字文叔父さんの決意、

それらすべてを理解する。

 

戦争時に起きた殺戮の連鎖。報復の連鎖。

秋生が理解できてしまったということは、

つまり、秋生も同じ連鎖の中に入ってしまったことを意味する。

 

そして、深く理解したからこそ、

相手の覚悟を知ってしまったからこそ、

相手を字文叔父さんを殺さなければならないと決意する。

 

おそらく、誰しも同じような体験があるのではないだろうか。

自らが悲しみを感じたとき、幼き日のことを思い出し、

あの人も同じことをきっと感じていたんだと。

痛みを感じるのは自分だけではないのだと。

気づくたび一つ一つ大人になっていくのだと思う。

 

だが、私たちは魚になりきることはできなくて、

本当に相手の悲しみをわかりきることなんてできない。

私が100歳まで生きたとしても、台湾人の悲しみを体験し、

本当に理解できるようになることはおそらくないだろう。

それでも、魚は水の中にて、私には涙は見えないことを理解すれば、

少なからず、相手に近づけることだろう。

 

お付き合いありがとうございます!

また、お待ちしております!

 

てんちょー

 

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